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高速インターネット環境の幻想

1999/09/13 1st issue 
2000/03/27 updated 

 

最近は日本でもインターネットの高速通信環境の選択肢が増えつつあります。
ISDNのMultiLinkPPP(128Kbps〜)やCATV(256Kbps〜10Mbps)、衛星(400Kbps〜
1Mbps)などがそうです。
 また、”みかか”がどこまで本気でやるかは判りませんが
一般の公衆回線(家庭に引かれている電話線)を使ったケーブルモデム(ADSL 
256Kbps〜10Mbps)も登場しています。
そしてCATV、衛星サービス各社の広告などを見ると夢のような高速性ばかりが
強調されています。
しかしインターネットも含め、現在の一般的なコンピュータネットワークについて
少しかじったことのある人ならば、このような高速性が恒常的に得られるもの
ではない事を知っています。
高速インターネット環境の導入を検討している方々へ、導入してから失望する
ことの無いように最低限の情報を提供します。

 

・遅いインターネット環境ユーザは速いインターネット環境ユーザの
 足を引っ張る
 

これは我々の身の回りでも全く同じ事が起こっているので分り易く例えて言えば、
高速道路上で時速28.8Kmで走行している車Aがいるとその車Aの前方はスカスカ
快速空間でも後方から来る時速64Kmや128Kmの他車は車Aの後ろまで来てから
そこで詰まり、渋滞状態となり、速度が大幅に落ちてしまうのと似ています。
一般的なコンピュータネットワークにおいても同様に、サーバは遅い回線ユーザの
処理をなかなか終えることができない(アナログはパケットロスも多い)うちに次々と
他ユーザのhtml/ftpリクエストが舞い込み、結果としてそのサーバのユーザ全員の
回線利用効率が低下してしまうのです。
また、アナログ56KよりもINS64Kのほうがデータエラーの発生が遥かに少ないので
実際には56Kと64Kという数値差以上の速度差が発生します。

 

・インターネット利用者が多くなるほどネットワーク全体の実効速度は落ちる

道路も車が多くなると自然渋滞が発生するように、ネットワークも利用者が増えれば
渋滞が発生します。
また、大型車(=大きなファイル)が多くなるほど道全体の走行速度が遅くなるように、
アダルト画像やMP3、RealAudioなどのストリーミングコンテンツといった大サイズデータ
を皆がテレホーダイ時間開始とともに一斉に利用し出すと
途端にネットワーク回線は
大渋滞となり、遅くなります。

 

・結局は

上で述べたような利用者が大多数を占めるインターネットにおいては自分のインターネッ
ト環境だけを高速にしたところで速度はその都度の状況次第で1Kbpsにも10Mbpsにも
変動するのです。
アダルトサイトや違法MP3、違法コピーソフト(warez)などをサクサク見たい・仕入れたい
などという甘い考えの人にぴったりな高速環境などは無いのです。

 

・高速環境はどのような場合に有効か(MegaWave)

四六時中、多数の人が同時アクセスしていないサイトで混雑の少ない時間帯(テレホ時間外)
に巨大なファイル(各種ドライバや文献資料)などをダウンロードする という用途で有効です。
web masterはMegaWaveという衛星インターネットサービスを利用していましたが、その例ですと
昨年MicrosoftがリリースしたDirectX7のSDKは122MBという途方もなく巨大なファイルでしたが
深夜0時頃の実施で下図のような速度で、ダウンロード時間は実質22分で済みました。(1999年10月実施)
(ダウンロード後に自PCのダウンロード一時フォルダから指定のフォルダにコピーが完了する
まで3分かかった)

この実験時は最大瞬間風速は下図のようにとても速い速度が出ました。

(MegawaveクライアントはVer2.0)

274.8KB/秒をbpsに換算すると約2.25Mbpsです。 そして122MBトータルの平均転送率は
81.8KB/秒(約670.1Kbps)という結果になりました。 前述したように実際のダウンロードに
費やした時間は25分30秒から約3分短かったので実効転送速度はほぼ90.4KB/秒(約740.3Kbps
が得られた計算です。
注:Megawaveは2000年2月から一部利用者が極大帯域占有してしまう事を避けるため最大1Mbpsの
  速度制限を実施していますので上記2.25Mbpsは既に観測できなくなりました。

 

 

もうひとつの例として、国内フリーソフトのダウンロードサイトとして有名な「窓の杜」での状況
ですが、ここは国内の有力ISPがダウンロードサービスに協力しており、私の利用しているISP
(Highway Internet)も協力ISPのひとつになっています。 面白いことにMegaWaveを利用する
場合、他の協力ISPからダウンロードするよりも自分の契約ISPであるHighwayをダウンロード
サイトとして選んだほうが遥かに高速にダウンロードできます。
 99年10/21からMegaWaveも窓の杜の協力ISPになったので窓の杜での上記実験は検証ができない
試しに窓の杜でダウンロードサイトにMegaWaveを選び、PaintShopPro6の試用版13.7MBを
土曜日の23:30頃ダウンロードしてみました。 下図のような結果です。

 

MegaWaveの場合はこのような用途が適切といえます。
ただしどうやらバックボーンはそんなに太くないようです。 MegaWaveの広告で謳われている
500Kbps〜1Mbpsという速度はあくまでもMegaWaveサーバ〜衛星〜受信ボードの間の話であって、
バックボーンの太さについては非公表です。
貴方が現在既にISDN環境のユーザですとネットサーフィン(ほとんど死語)では劇的な高速化
など体感できない事も想像に難くありません。(ネットワークの原理を考えればこれが当たり前)
ただし、最近はRealAudio、QuickTimeなどストリーミングAV(AudioVisual)コンテンツが数多く
出てきているのでこれらのコンテンツを視聴者が少なく、インターネットが混まない時間帯に見れば
ISDNとは比べ物にならないくらい快適です。

 

ここではMegaWaveでの高速環境を紹介しましたが、ネットワークの動作原理は同じなので
CATVであろうとケーブルモデムであろうと、専用線環境であろうと、遅いサイトに接続するとき
や皆がインターネットを使う時間帯は自分がどんなに高速な環境でもやっぱり遅いままなのです。