2004/01/28 1st issue
2004/04/19 update

本稿の内容を元に改造を実施されても、その結果について、もしくは改造によって製品に損傷が発生した場合でも
当方では一切の責任を負いません。 at your own risk
である事をご承知おきください。
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今回の改造にあたっては、「より大電流を供給できる」「利用できる既存パーツは極力利用する」を基本スタンスにします。 こう考えるとTigerMPで一番余裕のある部分はどこかといえば出力側電解コンです。ここはRubycon ZLが7発ですから合成ESRは3.14mΩで、出力インダクタの実効値1.0μHのとき出力リップル電圧8mV未満と充分すぎる低変動に収まります。 総静電容量15,400μF、トータルリップル許容量15,050mArmsとこちらも有り余る余裕となっており、過渡応答性も含めて申し分のない構成ですのでこれを生かさない手はありません。 次に手間の問題です。前稿でTigerMPの電解コン換装を実施した時に思い知ったのが、6層や8層といった多層基板で基板放熱を考えて電源層/GND層をパターニングされているマザーでは「コテ先の熱が逃げまくってしまう」という事実です。 考えてみれば当たり前で、自己損失6〜10Wの表面実装FETを放熱させられる基板なのですから、15〜20W程度のコテ先の熱量ではハンダが熔ける温度に達するよりも速く基板が熱を逃がしてしまってハンダがなかなか融けないというわけです。 追いハンダしようがフラックス(活性ロジン)をいくら使おうがハンダはスルーホール奥までは融けてくれません。 電解コン交換の時、最初は20Wのコテを使って作業を始めたのですが、これが取れないんです(^_^;; 両面や4層基板のものから電解コンを取るのは私も10秒に1個のペースで簡単に取れるのですが・・・ しかし融けないからといってコテを当て続けているとコテが接している小さなスルーホール表層部分だけが過熱状態となって下手をするとスルーホールを壊してしまいます。結局50Wのコテで短時間処理にしましたが、それでもTO-263サイズ(TO-220のSMDパッケージ版)のFETを剥がすというのは苦労が予想されます。長時間の部分加熱による基板の傷みや周辺部品の傷みも無視できないでしょう。(実際は部品も基板も案外壊れないものですし、FET等の表面実装部品はコンデンサとは違って容易に取り外す事が出来ました) ただ、初回の改造ではFET換装なしで済ませますのでFETで考えるのは「損失減らし」だけです。 ATX電源コネクタの接点容量の問題(=焼けてしまう)も考慮すると、改造は「VRMの損失減らし=変換効率向上」がメインテーマとなります。 これで改造プランは決まりました。 まずFETは換装せずスイッチング周波数を下げてUpper側のスイッチング損失を減らし、大電流を取った時のLower側導通損失増加には目をつむってTigerMPの基板放熱力と強力なCPUファンの風に期待します。 スイッチング周波数を下げて更に大電流を取ろうというわけですから、入力側のリップル電流増加に対応するため電解コンはリップル許容量が大きいOS-CONに交換します。(計算上は前回改造と同じ50V10μF積セラ追加でも間に合いますのでOS-CON換装は必須ではありません) OS-CONでも積セラ追加でもなく、高いリップル許容量(2000mArmsクラス)を持つ下記例のようなアルミ電解コンへの換装でも構いません。 これらの製品は最近の低電圧大電流DC-DCコンバータへの採用を狙って出された高性能品種です。 Lower側FETにはヒートシンク装着も考えてみましたが、今回の改造プランでは出力側電解コンにもっと仕事をさせる事になります。つまりLower側FET周辺の空間が狭く、ヒートシンクを装着するとCPU1の出力側電解コン周辺の空気の流れが阻害されますのであまりメリットがありません。FETの分厚い樹脂モールドの上にヒートシンクを貼って得られる放熱効果は、基板表面の空気流量減少によって殆ど相殺されそうな感じでもあります。 ですのでヒートシンク装着はしない事にしました。 インダクタは125アンペアターンまでいけるアモルファスコアで作成しました。用いたのは鉄基アモルファス超薄帯積層コアで、高透磁率ゆえ巻線は3ターンで済み、低周波数化とあいまって銅損はおよそ70%減ります。また磁芯損失は150KHzにてセンダストコアよりも80%以上減り、PC47クラスのパワーフェライトも遙かに凌ぎ、高温度条件下でもほとんど特性が左右されない超低損失コアです。 これでインダクタ損失は75%以上減る計算となり、37.5A負荷にて78〜9%だった変換効率は今回の改造によって、例えCPUが50A喰おうとも83〜4%を維持させる事ができます。 ここから更に劇的に効率改善を図るにはFETの換装しかありません。 実動状態RDS(ON)が10mΩのFETに換装すれば一気に変換効率4〜5%アップを狙えますが、まぁFET換装はてらさんから実験資材としてご提供いただいたFDB6030L採用のTigerMP Rev1.00でいずれ試すとしましょう。 「煮るなり焼くなり好きにしてください」との事でしたし、FDB6030Lで今回の改造プランだといくらなんでもLower側FETが厳しすぎる事になるので丁度良い実験材料です(^ー^ おかげで基板リビジョンの差を細部まで確認する事が出来て大変助かっております。この場にて感謝。 改造は次の6点を実施しました。 1.FETスイッチング周波数を230KHz→160KHzに変更 2.過電流制限開始点を50A、VRM動作停止点を82.5Aに変更 3.インダクタの変更 4.入力側電解コンの変更 5.2.5V系生成部の入出力電解コンをOS-CONに変更、その他 6.AGPスロット上方に1個だけあるHERMEIの6.3V 1500μFはCPUクーラーの熱風とAGPカードの発熱に挟まれる場所なので手持ちのマルコン製OS-CON 6.3V 680μFに交換
Rev1.03 改造後動作状況(2.5V系喝入れ未実施) 04/03/15 テスト運用は下記構成です。
今回の強化改造によってTigerMPでAthlonXPの2GHz超Dualも可能となりました。 動作クロック上限は純粋にCPUのOCキャパに依存するようになっています。 web各所で報じられていますようにAthlonXPの構造的クロック限界はほぼ2.2G付近にあるようです。 電流を供給するFETの温度はUpper側FETのDrain電極温度を直に熱電対で測定しましたが、2Gを超えたあたりから温度が急激に上昇します。つまりこのテストで用いているBartonXPは2G超えあたりから漏れ電流が爆発的に増え出している と考えられます。 (2004/05/02追記・・・これが当たりMPモデルや当たりMovileモデルならば空冷でも2.4〜2.5GHz程度までは行けるらしいので私もこの改造TigerMPで試してみる事にします。2.4G
DualならOpteron242 Dualと遜色ない程度のパフォーマンスも期待できそうですし)
Rev1.00 TigerMP 04/03/30 IRL3103SよりもFDB6030Lのほうがスイッチング速度は実測で10〜20%速い事が確認できたので、FDB6030Lが使われているTigerMP
Rev1.00でVRMの効率改善を図るならばLower側のFET換装がまず第一となりますが、Upper側もFDB6030Lより速いFETに交換すれば、スイッチング損失を効果的に減らす事が出来ます。
Rev1.00 TigerMP 改造プラン VRM強化目的でFET交換を考えますと、秋葉原で探せるFETで使えそうな品種はやはり一つも見つかりませんでした。 webで散見される2SK2936/3142/3156ですと、フルモールドパッケージは論外ですしGate chargeもReverse recovery chargeも大き過ぎて、高速offが望めずとても候補にはできません。 web上でもPentiumIII世代マザーボードでの修理しか利用実績が発見できませんでした。 そこでFETのデータシートを大量に集めて検討を続けていたのですが、国産品種では2SK3405は試してみたいと思える特性を持っていました。これはVdss20Vですから改造対象のVRMが12V入力型だった場合は耐圧不足となるので選べませんが、TigerMPは5V入力型VRMなのでFDB6030L代替として充分使えそうです。他にもNECや日立(Renesas)の品種で使えそうなFETがいくつもカタログに載っているのですが同じ性能なら海外品種のほうが安いですし、そもそも国内メーカは流通ルートを絞って一般には買い難い体制を採っており、国産品種を国内で調達するメリットが殆ど無いのです。私も国産品種を探す気はありませんでした。 で、各社データシートと睨めっこしながら結局FETはUpper側にIPB09N03LA、Lower側にSPB80N03S2L-06を選びました。 Infineon TechnologiesのOptiMOS® シリーズです。 上下ともIPB09N03LAにしてもよかったのですが、更に導通損失の低減とdead timeの短縮を狙って、Lower側は敢えてSPB80N03S2Lの-06版にしました。 これらはIRL3103SやFDB6030Lより3世代新しく、スイッチング速度 RDS(ON)ともにかなり特性向上しているデバイスで、良好な結果が期待できます。 インダクタも高周波数化実験を念頭に置いて前回とは構成を変え、銅損を更に小さくできるように作成しました。 Lower側のSPB80N03S2L-06はRDS(ON)が実動作状態で約7.5mΩと半減しますのでHIP6301の電流検出抵抗RISENは変更の必要がなく、無変更でカレントリミッタはCPUが52A消費するまでオンデューティ制限すら始まらず、VRMの停止点はCPUに85.8A流れた時点(FET単体に流れる電流42.9A)となります。 Upper側のIPB09N03LAもデータシートを見るとGate charge各値がほぼ1/3以下と極小で、入力容量CissもMax1649pFとHIP6603で難なくドライブできる低容量ですので、スイッチング周波数を元の230KHzから更に上げる実験も予定しています。 改造は次の5点を実施しました。 1.FETの変更 2.インダクタの変更 3.入力側電解コンの変更 4.2.5V系生成部の入出力電解コンをOS-CONに変更、その他 5.このRev1.00は私の手元に来た時すでに2カ所のCanicon製電解コンが膨張(例1,例2)していましたので、取り外したVRM入力側ZLを移植しました(^^;; この程度の膨張はまだマシなほうで、PCも普通に動いてしまうものなのですが次善の策という事で。 FET換装後の動作状態 (SW周波数230KHz)
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