2003/02/16 1st issue
2004/03/05 update

| 2001年5月から2002年10月までの間にコツコツとパーツを仕入れ、1年半越しでようやくAthlon利用者となった私なのですが、その間多くの先人達のとても有用なページを拝読しておりました。 そうしてやっと入手したAthlonXP(CPUID680)をTigerMPで使うにあたり、大きな問題があること(※1)に気付きましたため、先達のページの続編を書いてみようと思い立ったわけです。
その問題とはオンボード電源部の弱さです。 CPUにコア電圧を供給するVRM部と、DDRメモリ及びAMD762に供給する2.5V生成部がともに貧弱です。 TigerMP突然死の話を結構聞きますし、ヤフオクでも突然死TigerMPがよく出品されていますが、起動不能となる原因はこれらオンボード電源部の設計に理由があるかもしれません。 ※1;当記事で取り上げている「問題」とは、「AthlonXPをTigerMPで利用する」という、メーカの製品仕様規定から逸脱した使用方法に於いて発生する問題である事を当記事公開当初よりお断りしております。 参考までに私が入手したTigerMPは2枚ともボードRev1.03です。 ※FETの交換も含めたVRMの高性能化改造はpartIIをご覧下さい |
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・基板リビジョンの差
TyanはTigerMPのボードデザインにて、主としてVRM周りで苦労しているのが見て取れます。Tyanのサイトに出ていた製品写真はES品と思われるデザインのもので、このデザインと同じ物は市場ではまったく見かけません。 |
| Tyanサイトにupされていた写真 | Rev1.00 | Rev1.03 |
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・案外プアなTigerMPのVRM VRMの回路構成は5V入力型の2相同期整流バックコンバータです。 コンバータコントローラにはHIP6301、HIP6302のどちらでも使えるようなパターンが引かれています。FETドライバはHIP6603、PowerMOS FETはUpper側Lower側とも、Rev1.00ではFDB6030L、Rev1.03ではIRL3103Sが使われており、約232KHz(実測値)でスイッチされています。 某Spiceシミュレータで回路構成をRev1.03とほぼ同じように組んだもので変換効率を調べてみると、37.5A負荷にて変換効率は78〜79%となる事が判りました。 VRM入力側ケミコンはRubyconのZLで10V1000μF、出力側は同じくZLで6.3V2200μFです。
RubyconのZLは超低ESR長寿命品で、TigerMPに採用されているサイズの品は動作環境温度105℃にてLifeTime4000時間が保証されている高性能ケミコンではありますが、TigerMPのVRMの構成ではAthlonでも高消費電力なものを載せると、入力側ケミコンに流れるリップル電流が大きくなり過ぎて、ケミコンの許容値を超えてしまい、寿命を劇的に短くしてしまう事になります。 2相同期整流によって入力側出力側ともリップル電流は通常のバックコンバータと比べて1/2以上程度相殺されますし、ケミコン以外にもチップセラコンが多数パラで付けられており一応の対策がされていますが、それでも特にTigerMPのCPU2用VRM入力側ケミコンは3個しか並列されておらず、これではおおよそですがCPUコア電流のTyp値で32〜33A前後にて入力側ケミコンZLのリップル耐量上限を超えてしまう事となりそうです。 つまりVRMの設計という観点からTigerMP(新品)に搭載しても安心なCPUを、AMDのデータシートで各モデルの消費電流Typical値を睨みつつ長期安定動作を期待できるギリギリのレベルを考えますと、
と、上表のように考えることが出来そうです。(これはTyanの発表とは異なります) 厄介なのはXPとMPが「漏れ電流の少ないコアを選別して、ブリッジを変えてXPとMPに作り分けている」だけだと思われる点です。 つまり具合良く均質に回路形成のできた半導体ウェハーからは出来の良いコア(=漏れ電流が少ない)が多く採れるので、MPモデル並に消費電力が低いXPだってロットによってはあり得る訳です。(当たりCPUですね)
BartonXPの場合はFSB333もしくはFSB400のCPUなのでデフォルトでの逓倍率が低目(x11〜x13)です。 一方、TigerMPはFSB266システムですのでBartonXPの実動作周波数が1800MHzを超える事がないため、BartonXPもTigerMPも無改造の定格で動かすぶんにはVRMの能力的には問題なく動作させられるでしょう。 倍率変更改造/CPUFSBなどで実動作周波数を上げる場合の目安を表に入れておきました。 誤解する人が必ず出てくるので、くどいのですが念のため、
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・VRMの強化 まずは安易かつ上表1で挙げたCPUを定格でバリバリ動かしてもTigerMPがへばらない程度を考えます。 用意した積セラ(リップル耐量増加が目的ですから耐圧50V品を選びます)と実装例です。 ちなみに積セラ追加によってCPUコア電圧はTyanモニター上で平均0.04Vほど下がりました。 もっとも、更に高クロックなAthlonの使用を念頭に置くと、この積セラ追加で100%安心とは言えないのですが、積セラ追加をしておけば、たとえBartonMPを実動作周波数2.13GHzで駆動しても四六時中リップル電流過多な状態になってしまう事は避けられると思われます。 ほぼOK状態という事です。 万全を考えれば入力側ケミコンは三洋OS-CON(周囲温度65℃でもリップル許容値がRubycon
ZLの2倍以上)に換えてしまうのが良いと思います。 既に動作不安定もしくは起動不能となってしまったTigerMPに積セラ追加を実施して使用継続するのは極めて危険です。 そういったTigerMPの動作不安定原因が、静電容量低下(特性劣化)の進んだVRM入力側ケミコンに起因するものだった場合は、積セラ追加ではなくケミコン交換にしないと、幸いにも燃え出す前に動かなくなってくれたTigerMPを燃やしてしまう事になりかねないからです。 ・VRMの強化(徹底編) 2003/12/27 追記 倍率強制変更回路の付加などをして、とにかくCPUの耐性限界までブン回したい・・・
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・2.5V系生成もプアなTigerMP TigerMPにThoroughbredXP2200+をDual載せすると、DIMM(Micron製RegDIMM)はECCをBIOSで無効にしなければ認識できず、しかも1〜2枚しか使えなくなるという現象を確認しています。 この現象にはマザーの個体差がある事(DIMM1枚しか認識しないor2枚までなら認識する)も確認しました。 この不具合は、DIMM2枚認識できるTigerMPでも、搭載するビデオカードが電気大喰らいなものだと1枚しか認識できなくなる事から、やはり電源系統に原因がありそうです。 DDR DIMMの電源電圧は2.5〜2.6Vで、AMD762のコア電源電圧も2.5Vです。 TigerMPの回路を調べると、これらの2.5VはATX電源の12V系から生成されています。 回路構成は単相同期整流バックコンバータで、コンバータコントローラにはHIP6004、FETはFairchild製でupperにFDD6690A、lowerにFDD6670Aが使われており、約194KHz(実測値)でスイッチされています。 さて、この2.5V系ですが、CPUほどではないにしてもかなりの負荷を見込んでおかなくてはなりません。 なにしろAMD762が最大2.25A、DDR DIMMは128Mbit品18チップ搭載の256Mbytes
Registered ECC型でアクティブ動作時に1枚で最大3.8A(Micron
MT18VDDT3272G-265の場合のデータシート記載値より)は見ておかなければならないからです。 私はMT18VDDT3272G-265を4本搭載している環境で、最も電力消費の激しい状態の時は概算で9810mAと見積もっています。 誤解しないで戴きたいのは、これらの大電流が常に消費されている訳ではない、という点です。 三洋のサイトに「設計支援ツール」というページがありますので、そこでバックコンバータに使うコンデンサの簡易選定ができます。 このページで2.5V12.5Aという負荷条件(インダクタは1μHとした)にて選定させると、入力側ケミコンにはトータル5076mArmsのリップル電流が流れる という計算結果が出てきます。
VRMはCPUメーカから回路構成と部品選定にまで言及したデザインガイドが出されていますので、その通りに作ればあまり大きな失敗(=実情に合わない部品選定)はせずに済むでしょう。 ・2.5V系の強化 DIMM4枚搭載で延々とAVIエンコ/RC5-72という用途を想定すると、VRM強化のところで書いた「積セラ追加」程度では厳しそうです。また、TigerMPの12VラインはATX電源コネクタからマザー外周を延々と引き延ばされた(しかもあまり太いとは言えない)パターンが2.5V系生成部まで引かれており、いくら12VだとはいえAMD762とDIMMフル搭載時の合わせて40W近く(コンバータ変換効率80%で換算)を賄うには心許ない気もします。 そこでまずは、 1.入力側ケミコンは三洋OS-CONのSAシリーズ20V100μFx2に換装 という対策を考えました。 対策1、2によってリップル耐量の確保と平滑力の向上ができますので、FETの自己損失を減らすこととなり、変換効率改善が期待できます。 更にレギュレーションの改善と高速バックアップ能力の強化も実現できます。 VRM強化は後回しにしてとりあえず2.5V系強化だけを試したところ、XP2200+Dual搭載時で安定動作できるDIMM搭載可能枚数が2枚→3枚へと1枚増えました。 ※注 YXG取り外しのときに誤って側のチップセラコンを砕いてしまったため、代替の積セラ(小さな青い部品)を付けてあります。
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