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【続】 B級なTiger MPの研究 part II 
(番外編)

2003/12/17 1st issue
2004/04/12 update

Bartonの消費電力

Bartonになって変わった点は256KBのL2キャッシュ増量です。 256KBということは2Mbits(2,097,152bits)。SRAMはFlip-Flopですから1bitを構成するために6個のトランジスタが必要です。 ですので256KBのL2キャッシュ増量は、ざっと1,258万トランジスタ増やしたということで、ありゃぁ・・・これじゃ電流をお漏らししてしまうデキの悪いコアの採れる率がさぞかし増えただろうな、ということになります。アタリハズレの差が大きくなるわけですね。 BartonMPとBartonXPの消費電力の差はこれ(漏れ電流)が最大理由と思われます。

まぁ何はともあれ、電気を余計に喰うようになった犯人は増量されたL2キャッシュということです。 で、ここでハタと考えるわけです。 今回増えたトランジスタはL2キャッシュです。wordを使ってもIEを使ってもゲームをやってもAVIエンコをやってもベンチマークをやっても、と何をやっても常に必ず使われる部分のトランジスタなんです。 ということは、Bartonを使うならVRMのスペックは消費電力Typ値を基準に考えてはならないと思ったほうが良さそうです。

ところで、
「エンコやRC-5やコンテンツクリエイト系ベンチといったアプリにキャッシュ増量は効果無いから消費電力とは関係ないじゃん」と思われたアナタ。 実は関係オオアリなんです。 キャッシュ増量しても効果が上がらない理由は、先に挙げた類のアプリの動作パターンは繰り返し同じデータ(データの局在性という)を処理するのではなく、常に違うデータを読んでは処理しているのです。 で、常に違うデータですから、メインメモリもしくはHDDから読んでくる度にキャッシュにもそのデータを(二度と再参照されることのないデータなのに)毎度書き溜めているわけです。 「局在性のないデータを扱うアプリだから、データは読んでもキャッシュしない」なんていう選択的キャッシュ判断が可能ならば消費電力も結構抑えられると思うのですが、そんな事できるわけありませんね(笑

渦電流損失を利用した家電品

渦電流損を上手に利用した白物家電品があります。 IHジャーやIHコンロです。 あれらは機器のプレート部に高周波大電流を流すコイル(IHコイル)が埋め込まれているのです。 そのプレートに乗せられた炊飯釜や鍋・ヤカンはIHコイルが発生させる強磁界を受けて渦電流が釜/鍋・ヤカンの金属内に発生し、釜や鍋・ヤカンが持つ電気抵抗値によって内部で渦電流損失を発生させて釜/鍋・ヤカン自身に自己発熱させているわけです。 IHコンロで非金属鍋が全く使えない理由もこれで解りますね(^^ IHとはInductive Heatingの略です。  家電品に応用されるほどですので、「高周波大電流でのコア損失は渦電流損が支配的」という事が良く理解できるでしょう。

20年前から時間の止まった秋葉原 

電子デバイスを探し始めると、秋葉原はとにかく古いです。呆れるほど古い。かつての最先端電子立国だった日本の象徴「秋葉原のパーツ店」は今やアマチュア無線系とオカルトorエンスーオーディオ系しか充実していません。 前稿での改造のおり、積セラ10μFを探した時は訪ねた先々で「106?そんなデカイの有るわけないでしょ」「はぁ?日ケミがそんなの出してるの?」「何、それ?」という具合。
今回はコアを探しに(期待はせずに)出かけたのですが、やっぱり「ん?それはアミドン」「私:Micrometalsの52材か26材あります? 主人:はぁ?そんな材質聞いたことないよ。うちにあるのは2材6材10材だよ」「私:TDKのパワーフェライトあります? 主人:んー、PC40があるよ。外径40mmが一番小さいかな」という具合。

・いや、アミドンてそれはブランド名でしょう(笑 その店頭に並べてあるのはみんなMicrometals製のダストコアじゃないか(爆
・いや、聞いたことないって・・52材なんて10年前から、26材なんかもっと前からあるんだけど・・・ 大体PC40材て17〜8年前のデビューじゃないのか? コアは沢山並べてるけどオーディオとアマチュア無線しか知らないのかしら? これらも電源がなきゃ動かないんですけどね(^^; ラジオ会館、ラジオデパート、ラジオガーデン。みんな「ラジオ」が付くからやっぱり秋葉の店主さんたちパワーエレクトロニクス方面はとても疎いかたが多いご様子です。
・だいたい外形40て、一般人が一体どこにそんなもん使うんだ?(^^;; とオモタらオカルトオーディオ系やアマチュア無線系の人達がノイズ取り用途として使うのだと後から知りました。

こんな具合にもう不満がどんどん積もります(泣

フェライト

なんだか秋葉原でフェライトといえばアミドンになるんです(爆  秋葉ではアミドンがそれこそどこにでも転がってる。
43材だの77材だのが。 しかしフェライトはそもそも日本の発明品ですし、フェライトの世界No.1ブランドは間違いなくTDKなんですよね。フェライトの技術研究もTDKとJFEが世界の頂点。現在の高性能フェライトの世界市場シェアにしても日本メーカはまだまだ優勢(特にチップフェライトでは90%以上のシェア)と言えます。 特性コントロールができておらず、本当にターゲット周波数帯で使えるのか?が信用できない「単なる酸化鉄粉末焼結品」なら台湾中国韓国でも作っていて、それがまた格安なものですから、打撃を受けている日本のフェライトメーカも結構ありますが・・・ ま、とりあえず、アミドンを有り難がっていたのは単なる舶来志向/愚の骨頂とも思います。 かつてアマチュア無線が趣味の王様だった古の頃、日本のフェライトメーカが作ってもユーザはアミドンブランドを有り難がって商売にならなかったから作るのやめたのかもしれません。

パワーフェライトとアモルファス

パワーコンバージョンに使えるコア材としては他にもセンダストやパーマロイがあるといえばあります。 ですがセンダストはダスト(鉄粉)コアより少々優れている程度です。パーマロイは鉄粉と比べて非常に高透磁率な点で良いのですが、高価な割には高周波鉄損がそれほど改善できないので今ひとつおいしさに欠けます。 そしてセンダストコアもパーマロイコアも我々一般人にはパワーフェライトやアモルファス以上に入手性が悪いという理由もあって購入候補になりません。 因みにセンダストという名は「仙台で開発されたダスト系コア材」だからだそうです(笑  材料系だから東北大学あたりでしょうかね?
それはともかく大電流パワーコンバージョン分野は世界中のメーカがしのぎを削っています。 というのも地球温暖化抑制、化石燃料の有限性のため、あらゆる変電設備での電気のコンバージョンロスを減らす必要が出てきているからです。 これは重電分野の話になりますが、ここら辺は鉄鋼屋さんと金属材料屋さんの一騎打ち状態なんでしょうね(^^ NKKと日立金属の争い? まぁ少なくともTDKは軟磁性材料では電気自動車市場に的を絞っているみたいで、強敵はアモルファスのみと考えている様子です。つまりハネウェルを傘下に収めた日立金属こそ世界で一番の強敵か・・・
電気自動車も関係大ありなんです。 まぁ電気自動車の場合バッテリーメーカとコンデンサメーカも二次電池と電気二重層コンデンサで虎視眈々なんですが(^_^;; そういえば電気二重層はエルナーが世界シェア1番、続いて松下、NECトーキンときて、この3社だけで世界シェアの7割だそうな。(@2002)

怪しい電解コンデンサ

台湾中国韓国の電解コンメーカは数百と存在するようですが、その多くは本当に自社で製造しているのか非常に疑わしいのが現状です。 そもそも特性データを一切公開していないメーカが多すぎる。 この理由は、日本メーカが廃棄した中古製造設備を買ってきて電解コンを作っていたりするわけで、特性データの計測なんて設備をそもそも持っていない家内工業メーカが無数にいるわけです。 酷いのになるとどっかのメーカが廃棄した賞味期限切れ在庫品やら、日本メーカが自社製造品で品質基準検査をパスできず不良ロットとして廃棄した品などを安値で仕入れてビニール外装だけ張り替えて涼しい顔をして売っていたりも本当にしていそうで怖い。(少なくともDRAMチップはそういう状況)   で、悪評が立って潰れても後から後から雨後の竹の子のようにブランド名を変え外装を変えて、見てくれだけはもっともらしくした粗悪電解コンを次々と格安で出してきているに違いないから始末に悪い。 富士通やルビコンのパクりロゴやら日立、松下のパクリマークやら・・・

実は私の手持ちマザーでもShuttleのAN35N UltraにはOSTというメーカロゴの入った電解コンが使われているのですが、同シリーズの電解コン(RLX)なのに静電容量/耐電圧が違うとコンデンサ頭頂部の弁切り込みまでが違うのです。この2つの電解コンサイズは径が同じで背の高さだけ違います。 こんな事は日本メーカではあり得ないわけで、あちこちからの中古製造装置の寄せ集めか、さもなくば格安仕入れの他社製造品を外装し直しているかのどちらかだという事です。 「格安仕入れ」がどういう理由で格安だったのか?を考えただけでも、「これだから日本メーカ以外は信用できん」となります。 売れるんだったら猿真似だろうが何でもします。こんなじゃ特性データなんて公開できるわけ無いですね(笑  OST社についてこう推測する理由は同社2002年度のIR資料(pdf 550KB)によります。この資料によるとこの会社は1993年設立で、設立時資本金1万台湾元からずっと増資を続けているのですが、他社買収の会計報告が2000年末に出ています。その時一気に3桁増しの1千5百45万台湾元という多額の資本金に膨れあがっています。この時は現金以外に機器設備等も現物増資として計上されています。(※資料に記載の年は殆どが西暦ではなく中華民国建国からの数え年) これはOSTのアルミ電解コンがよく見られ出した時期の少し前ですね(^-^。 2001〜02年も6万元を超える増資を続けています。 更に資料を読み進めていくと、「アルミ電解コンではRLXシリーズの開発に成功した。この電解コンには従来(23ms/cm)に比べ倍の電導度(49ms/cm)の電解液と厳選した電解箔材料、電解紙を採用した。その結果、インピーダンスを従来品比15〜20%低減できた。」との記載が見つかります。 うーん、、RLXは相当自信のある最新製品のようです(笑
じゃぁRLXの特性データや加速試験結果を定量的数値データで出しなさいよ、と言いたくなるのですが、同社リクルート情報ページを見るとどうやらそういった研究/検査/品質管理部門は「工学系高専卒以上、’69〜’79年生まれでヤル気と自信のある者を大募集中」とのことです。_| ̄|○ 
これはつまり「ある程度経験を積んだエンジニアが欲しい」という事で、台湾では3〜4年前から優秀人材がどんどん中国大陸に流出しているそうなので困っているのでしょう。  が、 コンナンデイイノカヨ(´Д`;)
こういう点では同じ台湾メーカでも例えばHERMEITeapo、といったメーカはちゃんと特性データを公開するようになってきていますので少しは信用できます。 まぁHERMEIもOS-CON猿真似のような色の電解コン出してますので諸手をあげて賛美は出来ないのですが、そもそも電解液漏れなんてのは日ケミ、ニチコン、松下、東信、エルナー、ルビコンにだって結構あったのですし、30〜40年ほど前までは欧米から「Made in Japanの粗悪品」と呼ばれて日本の工業製品は粗悪品の代名詞だったのです。 台湾中国韓国のメーカには今後の躍進を期待しましょう。 というよりも、物作り拠点をアジア各国(特に中国)にどんどんシフトしている日本メーカはそのうちコンデンサでも中国には追い抜かれるかもしれませんね。 日本は有名大卒でも「覚えてその通り回答する事ばかり上手」で思考能力の足りない若者が増えたし、電子回路を語るのはエンスーな人々やヲカルトオーディオな人々の声ばかりが大きいし・・・
(そういう私も中学時代に習ったハズの右手の法則をスッカリ忘却していましたから、偉そうな事言えたもんではないな、、苦笑)

04/02/07 追記
日本製といえども格安品には落とし穴があることもたまにあったりします。
例えば先日日米で見つけたルビコン YXG 25V680μFなんですが、5個で100円と非常にウマそうなお値段。2000年15週産品です。 しかし見た時にYXGにしては容量の割に小さいので不審に思って20個ほど買ってみまして、LCメータで容量測定してみたらなんと全品が430〜440μF (^^;;  恐らくこれは製造過程のミスで外装間違いが発生してRubyconが廃棄した、表示だけは680μF実際は470μF品だったという事です。
全部が全部一様に430〜440ということは680が容量抜けした結果ではなく、元々470μF品だった証拠といえます。 サイズを計っても680μF品比で径同一、長さ4mm短い、というわけで25V470μF品サイズ(φ10、L16)です。 ま、国産品であろうと「安い」にはそれなりの理由があるという見本の話でした(笑
容量、サイズともちょうどPCIスロット横の12Vラインに搭載されている台湾製電解コンのリプレイス用にピッタリですし、105度5000時間保証品なので4年寝かされていたといえどもお買い得といえばお買い得。 これは後で電圧処理をしておきます。

04/03/26 追記
OST社の人材募集ページはいつのまにやら白紙になっていました。 確保できたんでしょうね。よかったよかった(^^
また、自社電解コンの特性データを公開するようになったようです。 ところが、AN35N UltraでVRM入力側に使われているRLX 16V 1500μFはその公開データに掲載がありません。 出力側のRLS 10V 3300μFは実サイズφ10 L25なんですが、これも公開データには該当品がありません。 一体どうなっているんでしょうね? やっぱり信用できないわなぁ・・・_| ̄|○

 

CPUの要求電流スルーレート

オーディオな人にはHICC(High Instantaneous Current Capability)と言えば分かるのでしょうけれど、最近のCPUは常識を越えています。 オーディオの世界ではHICC 100Aというのが「凄い」らしいのですが、最近のCPUはそんなヘッポコなHICCでは全く役に立ちません。 Pentium4のデザインガイドラインを読むと、Intelは350A/μsec という電流スルーレートが必要である事を認めているようです。

日本で国産先端ディスクリート半導体部品が買い難い理由 2004/04/12

もちろんPL法(製造物賠償帰任法)の施行も理由としてはありますが、そんな事は些細な理由で、最も大きな理由は生産規模を縮小しているからであり、高価格を維持するため流通ルートを絞って鎖国制度を採っているからです。他国と地続きでないのでとりあえず国内市場では海外製品との厳しい競争を避けられます。 輸入規制はされていませんが米、牛肉などと似たような事です。 日本のディスクリート半導体デバイス(特にトランジスタ類)は一部を除き高価格であるゆえに世界市場では採用が少なく、ワールドワイドな調達業者の日本製品の扱いは少数品種です。 コスト高によって利幅が取れなくなった日本メーカはディスクリートからLSIやASICなどの高付加価値製品に軸足を移しています。このトレンドは日本に限った事ではなく、米国でもIntelは日本勢がDRAMをガンガン生産しだした80年代にDRAMから撤退しました。 最近ではMotorolaが99年にディスクリート半導体/汎用ロジック半導体部門を売却しています。 トレンドはこのように米国でも同じなのですが、決定的に違う差が出てきました。米国のディスクリート半導体の大手メーカはFairchild、International Rectifire、On Semiconductorで、これらは元気があります。
日本国内での需要動向を見ても、中小製造業者は国産ディスクリートデバイスを探さなくなりつつあり、ECサイトでも海外勢のデバイス扱い高の割合が年々伸びているようすです。 偶にNECのPowerMOSFETを採用したマザーボードを見かけますが、あれもどこかの余剰在庫が偶々格安調達できたから使われていただけで、その証拠にそのメーカのその後の製品を見てもNEC製は継続採用されておらず、同性能のIR製やOn Semiconductor製に置き換わっています。
 世界の半導体売上高で見ると東芝やルネサス、NECはTop10に入っていますが元気がない事は、これら各社の従業員さん達が一番よく感じている事でしょう。 世界の十指に入る売上高を持ちながら元気がない理由は明白で、純利益が取れていないからです。 この理由も明白で、給与に大差がつかないという雇用システムがまだ崩れていないからです。 海外工場で生産していても生産管理/販売管理のべらぼうな国内人件費が日本のディスクリートデバイス製品の利益率を大幅に押し下げてしまっています。能力主義が浸透して、今のような行き過ぎた平等主義が薄れないうちは冒頭で書いた鎖国性も抜けませんので、ディスクリートデバイス分野ではもはやトップに返り咲く事はないでしょう。 そんな事はとっくに判っているから高付加価値製品に移行しているんだ、と各社の方は思われるでしょうが、Intel、Motorolaと違って「市場で決定的に唯一無二な高付加価値製品」を持てていないまま LSIだASICだ と言われても説得力は乏しいわけです。 そうしている間に当然ながら中国に追い抜かれます。その時点でディスクリート半導体を作り続けている国内メーカは何社残っているか楽しみです。 2004年現在で国内勢は日立(含ルネサス)、東芝、NECが総合的にディスクリート半導体を鋭意開発生産しています。松下、三洋はディスクリートでは既に脱落しかけていると見ていいでしょう。 ソニー、富士通は既に撤退、三菱は日立と合弁で作ったルネサスの資本比率が45%と、現段階では面目を保っていますが、恐らくディスクリートは殆どルネサスへ移管するでしょうから、三菱が脱落したと見るべきです。(と言うか将来、十中八九手放すであろうセミコンダクタ分野に対して45%も出資している時点で、理由がどうであれ金の使い方は間違い。従って三菱の負けです。岩崎弥太郎が見たら激怒するに違いありません) 富士電気、新電元、ローム、サンケンは概ね狭範囲の半導体専業なのでローム、富士電気が残ってあとはどこかに吸収されている可能性もあると思います。

 若い世代が基本的なディスクリートデバイスで工作する機会が減り、ブラックボックスのようなICやモジュール製品を「作り方」を見てただ配線するだけでは当然ながら優秀な技術者も減り続けるでしょう。 我々一般人が国産の最新基本デバイスを苦労なく買える時代は再びやってくるのでしょうか?・・・